大正乙女ロード

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人力車の男たちは 私を見下ろして 申し訳なさそうに 笑った。 「すみませんね、 お嬢様、」 ~~~~~~~っっ!!? 「なんなのっ、 離してっ帰る、 私は帰る!!!!! 父上、父上!!! こんな騙し討ちで 縁談を進めるなんて、 この卑怯者!!!!! 父上、聞いている のですか、父上!!! こら、車屋!!! 私を下ろしなさい!! 無礼者っ、 下ろしなさい ってばぁああああ!!」 「無視しなさい、 とわ子を連れていけ!!」 「父上!!!!?? ひどいっ、 もう父上とは2度と 口をきかないわ!!! 父上っ、父上 聞いてるの!!??」 抱えられるようにして どんどん連れていかれて、 最低、最低最低最低!!! 私の結婚はこんな 形で決められるなんて、 なんなの私の人生っ、 こんなことなら、 雪彦さんと駆け落ち しとくんだった・・・!!! 「ほほほ、 存じあげては いましたけれど、 本当に仙崎の お嬢様は賑やか ですこと。」 はい!? 廊下の先で聞こえた、 品のある笑い声。 目を凝らしてよーーく 見ると、 あれっ、て、 「・・・正峰の、 奥様・・・・・・?」 そこにいたのは、 雪彦さんの、お母様。 え? と思ったその瞬間に、 「えっ!!?? とわ子さん!!!?」 って、部屋から 雪彦さんが飛びて出来て、 え? え!!!!!???? 父上の方を見ると、 父上はニヤリと笑った。 「ここまでだな、 とわ子。」 いや、ここまで、 というか。 私の縁談相手、って、 まさか。
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