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「ははは、
何を驚いた顔を
しているんだ、
雪彦よ。」
向かい合って座る両家。
うちの父上と母上、
正峰公爵と奥様は
呑気に笑ってて、
私と兄上、
それから雪彦さんは
ものすごくわけが
分からないって顔を
している。
え、どういうこと?
どういうこと!!?
「父上!!?
僕のお相手というのは、」
「見ての通り、
仙崎伯爵の御息女、
とわ子さんだ。」
正峰公爵の言葉に
雪彦さんはギョッとした。
「なぜそれを
言ってくれなかった
のですか!!!」
「言うも何も、
縁談の話を出した時、
最後まできこうと
しなかったのはお前だ。
誰が縁談相手でも、
僕が愛しているのは
ただ1人です等と
抜かしてな。」
父、正峰公爵の言葉に
雪彦さんはへなへなと
その場に座り込む。
私も父上に食いかかった。
「父上!!
なぜ縁談があることを
私に言わなかった
のですか!!!??」
「そりゃお前。」
父上はケロッとした
態度でお手拭きで手を
ふいた。
「縁談は嫌だと
あれだけ言っていた
とわ子に、正直に
話したら、逃げられる
かもしれないだろうが。
事実、さっきも
逃げようとしていたし。
それとも、雪彦くんなら
言って良かったのか?」
・・・・・・!!!
父上は、知らない。
私が雪彦さんのこと
好きだってこと。
私は言い返せなくて、
でも何か言い返して
やりたくて、
口をモゴモゴしながら、
無理やり席に座り直した。
なんだか、なんだか、
これって、
なんだか、
私たち、間抜け・・・
「本当に、
とわ子さんには
うちのひ弱だった
雪彦をこんなに
強くしてくださって、
嫁に迎えるなら
とわ子さんしかいない
と主人と常々話して
いましたのよ。」
正峰の奥様がニッコリと
微笑んできて、
私はあたふた。
「いえ、そんな、
私はっ、」
信じられない。
私、
雪彦さんと
一緒になれるの?
「とわ子、
とわ子は正峰家に
嫁ぐんだ。
異論はないな?」
父上が念を押すように
言ってきて、
異論、だなんて。
「ない、です、父上。」
だって、
雪彦さんと一緒に
なることが、
私の一番の願い。
私の、好きな人。
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