178人が本棚に入れています
本棚に追加
大正乙女ロード
時は、大正。
文明開化により、
花開いた西洋文化は
留まるところをしらず、
大正モダン、真っ只中。
華やかに発展していく
国の姿に胸を踊らせていた
この時代、
昔の慣習を未だに引きずって、
良妻賢母が女の道だなんて
時代遅れもいいところ。
これからは、
女だって自由でなくっちゃ。
「元始女性は太陽であつた。
真正の人であつた。
今、女性は月である。
他によつて生き、
他の光によつて輝く。」
私はこんな人生、
まっぴらごめん。
私は他人に照らされる
のではなくて、
私が輝くの。
************
帝都、東京。
ここに、1人の
お転婆娘がおりました。
名は、仙崎 とわ子。
(せんざき とわこ)
女学校に通う16歳。
華族のお嬢様で、
それはそれは大切に
育てられてきました。
お花に、お琴、お料理、
日本舞踊にお裁縫、
女の嗜みは一通り
おさめたとわ子さん。
父の仙崎伯爵は、
とわ子さんをお淑やかで
つつしみ深い女性にと思い、
教育してきたのですが、
ここに、落とし穴が。
それはとわ子さんの
お兄さんである、
黎之助(れいのすけ)さん
の存在。
黎之助さんは、
男の子の遊び、
学校で学んできたこと、
世の中の面白いことや、
これからの日本について、
はたまた巷で流行って
いることなど、
幼いとわ子さんにあれこれ
吹き込んでいました。
そんなわけで、
とわ子さんは父の願いを
振り切って、
いつの間にやら、
先鋭的な考えの女性に
急成長。
「幼にしては父兄に従い、
嫁しては夫に従い、
老いては子に従え。」
はい?
何をおっしゃって
いるのかしら????
私は私、
他人にずっと従って
生きていくなんて、
絶対に嫌なんだから。
これは、
そんなとわ子さんの、
恋愛模様。
最初のコメントを投稿しよう!