同期の小梅

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それは、俺が中三の冬だったのよ。 俺は、俺の壮大な計画を達成させるべく、夢の第一歩を踏み出そうとしていたのさ。 俺ん家は、代々続く農家で、あんまし広くは無いが、狭くも無い農地を活用しながら農業経営してきたんだ。 俺は、次男に生まれ、 物心付いた頃から、家の仕事を手伝って来た。 別に、親から強要されたからじゃあ無く、 自主的に手伝っていたよ。 それは、家の為、親の為、生活の為だと、何となくチビッ子の頃から自覚していた。 拙いながらも、できる限りの精一杯で手伝うと、父ちゃんや母さんが喜んでくれて、誉めてくれたからっつうのが、最大の理由だったけどね。 チビッ子の時って、大体そんなもんだろ? 幼稚園から帰って来たら、直ぐさま畑に駆けてった。 たまに睡魔に襲われて、つい眠りこけてしまっても、ばあちゃんと一緒に、オヤツを持って行ったもんさ。 親達が剪定した、ミカンの枝を集め 父ちゃんが着けた火に、次々と投げ込んで行く。 冬の仕事には、持って来いだった。 燃える火にあたる間もなく、せっせと枝を火にくべる、 それだけで、汗だくになったよ。 小学生になったら、ミカンを収穫しながら、毎日デッカイ声で、九九を暗唱させられた。 間違うと、父ちゃんの突っ込みが入る。 俺は、負けじと、何回も復唱した。 おかげで俺は、クラスで最初に、九九を全部覚えた英雄になったもんよ! これが、日々の鍛練なんだ!と、悟ったもんさ。
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