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「夏姫―、お前もうちょっと嬉しそうな顔しろよー」
「本当、夏姫ってばあの仏頂面、ないわー」
教室に戻ってきた途端、隼人と早紀が話しかけてきた。
「俺の被写体が良かったおかげだよなー」
「私でしょう、それは」
幼馴染の岡野隼人はサッカー部、高校からの友達の松山早紀はバスケ部で、それぞれ写真コンテストの被写体として協力してもらった。
「笹山ー、今度は俺も撮ってー」
「原田、帰宅部じゃん」
夏姫が返すと、原田潤平の変わりに隼人が答えた。
「こいつ、BMXのチームに入っててスゲーんだぜ」
「え、そうなの?あの自転車でアクロバットなことするやつ?」
夏姫が興味津々に聞いた。
「俺がやってるのはレースの方。自転車のモトクロス。俺んち自転車屋でさ、カッケー自転車色々あるぜ」
「オレも原田んとこでチャリ買った」
他の男子たちも加わってきて、夏姫の周りに輪ができるのはいつものことであった。夏姫と早紀の他は男子であることが多い。夏姫の興味があるものが男子のそれに近く、話が合うのだ。早紀は、バスケ大好きのスポーツ女子で夏姫と似たところがあり、一年の時に同じクラスになってからすぐに仲良くなった。
夏姫も早紀も女子であることを否定しているわけではない。お洒落に全く興味がないわけでもない。二人とも髪は長く伸ばし、ポニーテールやお団子ヘアーをお揃いで楽しんでいる。態度が女の子らしくないので、髪だけでも長くし女の子に見えるように伸ばしている。
二人の髪を伸ばしている理由が同じだとわかった時『くだらない理由ー』とお互い笑った。
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