2人が本棚に入れています
本棚に追加
入学当初、夏姫や早紀を男子に媚を売っていると影口を叩く女子のグループもあった。
夏姫は可愛らしい、早紀は綺麗だと表現されることも多々あるような容姿を、二人は持っていた。多くは羨ましさからのやっかみである。
夏姫はポーズでもなく、ましてや媚を売るために男子と話すわけではない。夏姫の好きなものはカメラ、バイク、洋楽であった。女子たちとはそれなりに合わせて話をするが、服やネイルやアイドルの話に無理して加わろうと言う気は毛頭なかった。
夏姫と付き合いたいと思う男子の多くは、はっきり断られるか、どうかしたら殴られるので、友達でいいかと諦めている。
夏姫は現在、小柄で可愛らしいが元気でガサツなサバサバ女子というポジションに落ち着いている。
「写真部の中で一人だけってすごいよねー」
放課後、部活に行く夏姫と早紀は、途中まで一緒に廊下を歩いていた。
「早紀も知ってるでしょ?本当にやる気あるのは速水先輩と私だけだもん。あとの部員は速水先輩の腰ぎんちゃくだし」
「じゃ、速水先輩、夏姫が賞とったから悔しいんじゃないの?」
「速水先輩は純粋に写真が好きだから、そういうのないと思う」
「そーかなー、好きなほど悔しいんじゃないのー。ま、いいけど。じゃ、帰り昇降口ね」
最初のコメントを投稿しよう!