キングの異名

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キングの異名が、本物の異名として近隣にまで広がる事件が起きた。それは、青にとって屈辱的で、そして比呂にとって、初めて本気で「大切な友達」を怒った、事件。 何となく、好きです付き合ってくださいと言われて、青自身どうでもよかったから好きにしたら?と言ったものの、異性に触れられる事がこんなにも気持ち悪いものだなんて知らなくて、半殺しにしてしまった。もちろん別れたけど、捨て台詞かのように、 「朝霞とデキてんだろ!!」 「朝霞とやってんだろ!!」 みたいな事を言ったのにカチンときて、更にぶちのめしてしまった。そんな青なので後悔は特にしていない。 それがきっかけだったのか、そいつの知り合いとやらの暴走族に喧嘩を売られた。むしゃくしゃしていたから買ったが、さすがに多勢に無勢、拉致られて、気絶させられ、そして、回された。途中から青の意識は朦朧としていたけれど、ああ、自分は今不特定多数の男にレイプされているんだな、位の認識は出来ていた。 拘束を解かれ、しっかり意識も戻った瞬間、手元にあった鉄パイプでとにかく1人残らず殺してやろうという明確な殺意を持って反撃した。その辺に転がっていたものは全て武器とみなした。 その時は体が汚れたことなんてどうでも良かった。 捧げたい人なんていなかったし。 気持ちよくもなんともない、ただ突っ込まれて、血が出て、また突っ込まれて。それだけ。 ただ、馬鹿なヤツらに屈辱を受けた事は、許せなかった。 噂から噂を聞いてなんとかここにたどり着いた比呂が来た時には、血溜まりができていて、リミッターが外れた青はひたすらそいつらを、素手、金属バット、鉄パイプ、ありとあらゆるもので、殴り続けていた。 「青!!もうやめろ!!殺しちゃうから!!」 「……ああ、いいよ。殺そうか。私、回されたんだよ。こいつらに。黙って泣き寝入りなんてしたくないしね。被害届出そうにも王澤の家にバレるでしょ。だったら、こんなやつら、殺した所で。」 「青!!やめろ!!!もうこいつら意識ねぇよ!!!!やめろって!!!!! お前が犯罪者になってどうすんだよ!!」 この事件の後に、公に私の名前がキングとして定着した。キングだねーとかは言われていたけど、女だろうが、容赦なく半殺し、その無慈悲さに、絶対的な恐怖心から、支配者のキングだ、と。
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