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side:比呂
物心ついた時にはもう自分が普通の家庭とはかけ離れた環境で育っているんだって自覚した。なかなかエグいものも見たし、こうなったのはそのせいだろうなと思うけど、だからといって別に俺は俺だし、ふーん、って感じで流されるままに生きてきた。
だから、この高校に入るのも分かっていたっていうか、俺の頭で入れる高校なんてここしかないって自覚してたから、なすがままにって感じで。
広く浅く友達もいるし、かわいい女の子はみんなやりたいし、その時楽しければ別にいいんじゃない?って物事深く考えることはほとんどない人生だったから、今後もそうなんだろうなとしか思ってなかった。
「比呂坊、行ってらっしゃい!」
「いってきまーす!可愛いギャルいるといいなー!!」
「相変わらず節操のない……」
「気にすんなよ、それが俺!」
俺にとって高校なんてものは、卒業出来たらラッキー、留年したら辞めちゃおうかな位の存在だから、勿論深く考えたりしない。
目をつけられたら持ち前のコミュ力でなんとかなるでしょ!って楽観的に考えているし、仲のいい先輩もいないわけじゃないし。
だから、この時の俺は知りもしなかった。
親友、と呼べる人と出会うなんて、全く考えてもいなかった。
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