朝霞比呂と王澤青の出会い

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南堂高校。関東屈指のヤンキー高校で、漫画とか映画とかに出てきそうな本当に絵に書いたようなヤンキーの集まり。新入生はどんなやつが来るのかと悪意の塊で待ち構えていた在校生は度肝を抜かれた。 「なあ、今年の新入生に学費免除の特待生いるらしいぜ……しかも県外からだと。」 「は?こんなクソ高に特待生!?」 「嘘だろ、そんな頭ありゃ他所の普通の高校行けるだろ。」 「しかも女だって話だぜ!?」 「まじかよ、どんなやつだろうな。」 噂は噂を呼び、入学式が始まって新入生代表の挨拶で壇上に登ったその女子生徒を見た在校生は、驚きと、そして、あまりにも人を寄せつけない空気に、どよめいた。 「新入生代表、王澤青。」 生意気、頭いいなら他所にいけ、会場はブーイングの嵐だった。それでもその女子生徒は何処吹く風と言った顔で壇上から降りた。 不敵な笑みだけを残して。 「比呂、俺らあの子と同じクラスじゃね?」 「え!?じゃあ俺めっちゃ仲良くなれば卒業出来るかもじゃん!!」 「そこかよ……生意気そうだから回さねぇ?」 「それは無い、俺はそういうの嫌いだし、あの子だって多分、なんか事情なきゃこんな高校来ないでしょ。」 「確かに……つっても南堂来るってことはどういうことなのか、多分痛い目見て知るだろうなぁ。」 「……なんか嫌だな、そういうのは。」 比呂は青に対して可愛いとか綺麗とか見た目の第一印象より、凛とした姿に隠されている暗い何かの方が気にかかった。純粋に、友達になりたいと思った。初めて、下心のない異性への感情だったであろう。 青は青で、やっぱりバカの集まりとは聞いていたけどブーイングなんて小学校かなここは、位にしか気にしていなかった。
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