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「うわあ」
僕はびっくりして、思わず立ち上がった。
丸いやつは、突然暴れるように立った波に驚きながらも、そのままぷかぷか浮いている。
僕は暫くそのまま、その丸いやつと目を合わせていた。
――ぷぽん。
丸いやつは、一度お風呂の中に潜ったと思ったら、すぐ僕の傍にまた顔を出した。
僕は慌てて避けようとしたけれど、出来なかった。
丸いやつは、僕の身体に、自分の身体をすりすりと押し付けてきた。
その身体には、気持ちいい温かさがあった。
「あったかい」
僕が言うと、丸いやつはその言葉の意味が分かったのか、ゴマのような小さな目を細くした。多分、笑っているんだと思った。
暫くすると、長風呂している僕を心配したのか、おばあちゃんの声がした。僕は慌てて返事をして、浴槽から出た。
振り返ると、丸いやつは、いつの間にかいなくなっていた。
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