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第一楽章 序曲
まるでナイフで顔を撫でるように、鳥肌が立つ視線が、向けられる。
誰の顔をも見れないけどイヤな視線だ。
「オラァ!」
「もっとやっちまえ!」
いつもの男子の声だ。もう聞き飽きた。
「あーあ、かわいそ。さっさと死ねば楽なのにね」
「ほんとねぇー」
相変わらずな女子の声だ。
誰だろうが、信用できない。
生みの親、育ての親。
学校の先生、家庭教師。
結局、自分の身は自分で守るしかないのだから…
「ねえ」
思い出せない声が響く。
こんな声の人っていたっけ........?
「頑張れよ、僕のためにもさ」
誰だっけ。
本当に思い出せない。
突然ジリリリリリリリと喧しい音が頭に響き渡る。
混濁していた意識にまぶしい光が灯り、意識は現実へと戻される。
朝だ。
「....ん。学校、行かなきゃ。」
どれだけ寝つきが悪くても、どんなに体調が悪くても。
ボクは平気な顔して学校に行く。
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