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「虹坂(こうさか)君、勉強教えてー!」
「虹坂! 今度の試合、助っ人として出てくんねぇ?」
「虹坂君のお弁当、美味しそう! 私の玉子焼きと交換してよー」
「あー、ズルい! 私も狙ってたのに!」
昼休みになった途端、クラスメイト達が虹坂の席へ詰めかけてくる。
普通なら圧倒されるその光景に、虹坂は「アホか、お前ら」と呆れて笑っていた。
「そんな一気に言われても出来るわけねぇだろ。順番に並べ」
「「「はーい!」」」
虹坂の言いつけ通り、クラスメイト達は列を作る。
乱暴な口ぶりではありながらも、困っている生徒を決して見捨てはしなかった。
「虹坂(こうさか)君、勉強教えてー!」
「ここはこう解くんだよ」
「虹坂! 今度の試合、助っ人として出てくんねぇ?」
「暇だったら行くわ」
「虹坂君のお弁当、美味しそう! 私の玉子焼きと交換してよー」
「持ってけ、持ってけ」
虹坂の的確なアドバイスと対応力により、昼休みが終わる頃には全員さばききっていた。
「やばっ、昼休み終わるじゃん」
虹坂はほとんど他人のおかずと化した弁当を掻っ込み、何もなかったような顔で次の授業の準備をした。
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