足あとの花

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足あとの花

 すっかり慣れた日常の中ふと、かつて師事していた先生のことを思い出す。  先生は僕に色々なことを教えてくれた。薬草の見分け方や使い方、怪我や病気の手当の仕方、それ以外にも料理の仕方なども教えてくれた。  先生は錬金術の研究をしていた。少なくとも僕が先生の元にいた頃には賢者の石を作り出すことはできていなかったけれども、それ以外には色々な発見をして発表していた。  大変だけれども楽しかったあの日々が懐かしい。いま僕を雇って家に住まわせてくれているくれている医者との生活も充実したものだけれども、やはり先生のことが懐かしいのだ。  先生は今どうしているだろう。  いつか先生が歴史に足あとを残して。そこに花が咲きますように。
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