おばけの足あと

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******* 「ねえねえ、起きて。雪がたくさん積もってるわ」 「本当だ……あいつがいたら喜んでただろうなあ」 「そうね。きっとお気に入りの靴を履いて外に飛び出していったでしょうね」  夫婦は真っ白な窓の外を眺めた。  ふと何かに気づき、顔を見合わせる。そして二人は外へ飛び出した。 「あいつの足あとだ……」 「嘘みたい……こんなに走り回って……」  二人はしばらくその足あとを眺めていた。  ふと、夫が家に戻って何かを持っくる。 「あいつ、写真撮って欲しいんじゃないかな? ほら」  それは、息子の誕生日にプレゼントするはずのカメラだった。 「そうね、今日は六回目の誕生日だものね」  玄関には、少しずつ大きくなる男の子ともみの木が並んで写る写真が五枚、飾ってあった。 「よし、撮るぞ」  隣に誰もいないもみの木にカメラを向けて、二人は微笑む。  それから今度は地面にカメラを向け直し、何枚も何枚も写真を撮った。 「あいつ、俺たちが落ち込んでるもんだから、元気づけようとしたんじゃないか?」 「そうかもね。こんなに楽しんでますよって、教えてくれたのかもね」  日が高くなり、気温も上がってくる。  二人は、明日にはなくなってしまうであろうその足あとを、いつまでも眺めていた。
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