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尋問のような矢継ぎ早な質問は、どこか図星らしく米の目が泳いだ。
「ちっ、違いますよ、人聞きの悪いことを言わないで下さいよ、あれは僕じゃなくって、クライアントが、ウォルフィが別の業者に別で外注したとこなんですよー」
「あ、そーだっけ。ま、いいや、どっちでもいいですわー。動けばいいよね、動けば」
あまり深く考えないらしい後藤は、そう言いながらオフィスのドアを開けた。
「まあ、ええ……そう、なんですけど……垣田リーダーはまだランチですか?」
「うん、だと思いますけどー。どうだろ、会議でちょっと遅くなってたから、もうちょっとじゃないですかー」
後藤と米が、どうもクライアントの注文が意味不明ですよね、などと他愛もない愚痴を言いながら席についたころ、ドアの前から賑やかな声が聞こえ始めた。
声の感じから、市山、篠原、花崎の3名らしい。腹が満たされたためか、比較的に三人とも何やら友好的な雰囲気で戻ってきた。
「あれ、米さん? どうしたんですか?」
市山はメガネの奥から何をやらかしたんだろう、と興味をあらわにしつつ尋ね、
「あらどうも、お久しぶりです」
篠原は大人らしく社交辞令を上乗せして声をかけ、
「こんにちはー、あ、米さん。来てたんですか」
花崎は興味はないが愛想をトッピングして問いかけた。三者三様だが、米と呼ばれた男はおずおずと遠慮がちに口を開いた。
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