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「あ、そういえば。誰かコメさんに教えたの?」
篠原の素朴な疑問に、一同は首を横に振った。
「え、えんげーじ……」
首を垂れた笹と、全くそんな状況は視界にも入れずに花畑をスキップする勢いの花崎。市山はふと、その対照的な二人を見比べて、つぶやく。
「なんで花崎さんばっかりなんでしょうか」
「おろろ? 市山さんはコメが気に入っていたでござるか? コメと言っても新米古米古古米の白いアレではなく、時折われらとプロジェクトが一緒になることで記憶にも時々は登場する、あの軟弱なひょろひょろ草食し過ぎて精神的には断食僧にこの世で最も近づいたと言っても過言ではなく、悟りよりも涅槃に近いあの米でござるよ? 食べても美味しくはなさそうなあの米でござるよ?」
「そんなわけないでしょ! 選ぶ権利くらいはあるのよ、私にも! まだ!」
特大級の爆弾が頭上で爆破されたのみならず、追撃を受ける笹が背負う暗雲は見る間に濃くなっていく。もう雨雲どころか風雲雷神が揃ってお祭り騒ぎである。
「……あのー、全部その会話って聞こえてるんですけど……」
「あら」
「おろ」
形ばかり驚いた風の市山と後藤にため息をついてから、笹はボソボソとつぶやいた。
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