第1章「あの事件、語る男たち」

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 □  高層ビル群の街には、また今日もいつもの光景が広がっている。その星の数のごとく広がるオフィスの中に、株式会社ウォルフィはあった。  オフィスビルの各階には、スーツ姿の男性や、いわゆるバリキャリと呼ばれる女性などが行き交う。その簡素なデザインの社内において、一箇所だけ他とは異なる部屋があった。  デスクがいくつか並ぶ一室には、どう考えてもキャリアらしくない様子の女性たちがいるのだ。 「はー、肩こったー。あ、もうお昼じゃないですか。おお、私としたことが随分と集中してしまったようだな、これはこれはお昼からの仕事がなくなってしまうではないか。ふはははは」  一際大きな声をあげて派手に背伸びをしたのは、後藤しほり。  自他共に認めるオタク文化に染まり生きる人物であり、そのいでたちも”怒られないレベルで”内面を表している。
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