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ただ、あたりの様子も全く気にせずハッピーオーラ全開の彼女に、市山はうんざりといった顔を浮かべるのだが、当の花崎は全く気にもかけていない。
「お、おかえり……」
やや圧倒された様子だが、さすが大人の篠原がにこやかに声をかけた。
「あ、篠原さーん、あれっ、時間もしかして結構かかっちゃってました? すみませーんっ、ちょっと遅くなっちゃってー。彼がーウエディングフェアに行こうってー、予約がなかなか取れないんですよ、人気のとこなんかー、予約待ちでー。やっととれたんですよぉ、来週の日曜日! 私、この日ってお休みですよね?」
「そう、だったかな。予約が取れてよかったじゃない。でも、もうお昼に近いくらいになってるから、休憩はもう少し早く帰ってきてくれた方がいいかな……」
花崎が電話だからちょっと、と出て行ってから30分は経過している。篠原は笑顔で諭すように言い添えたのだが、花崎には全く通じていなかったらしい。
「あっ、そうですね、すみません! じゃ、すぐにお昼に行っちゃいますね!」
そういうと、再び出ていった。今度は、バッグを手に。
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