第1話 大地とニケ

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「なんだよ、これ……」  地平線まで見渡せるほどの広大な草原が眼前に広がっていた。  茫然と辺りを眺める俺にニケが甘えるようにすり寄る。 「ゴロゴロ」 「夢でも見ているのか?」  俺は恐る恐る辺りを見回す。  正面には草原が広がり背後には街道らしきものが見え、その向こうには森が広がっていた。  見渡す限り人の気配はない。 「どこだよ、ここ……。何でこんなところにいるんだ……?」 「ミャー」 「ごめん、ニケ。ちょっと時間くれるかな」  俺はニケを膝に乗せたまま数十秒前に起きたことを思い返す。 「俺はさっきまでベッドの上にいた。疲労感や空腹感から考えてほとんど時間が経っていないのは確かだ」 「ミャー」  すり寄るニケを抱きかかえてさらに自問する。 「こうなる直前の出来事、何か普段と違うことはないか……? そうだ、指輪! 指輪だ!」
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