第1話 大地とニケ

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 急ぎ自分の左手を見たが、そこに指輪はない。  続いてニケに視線を移したがくわえていたはずの指輪もなかった。 「落としたのか?」  慌てて周囲を探すがそれらしきものは見当たらない。 「いや、少なくとも指にはめていたんだ。そう簡単に落とすはずがない」  ()いつくばって探したが指輪は見当たらなかった。 「どうなっているのか分からないが、指輪とこの状況に何らかの関連があると考えていいよな」  ニケが咥えた指輪を取り返そうとして、俺の指輪とニケが咥えたた指輪がぶつかった映像が鮮明に蘇る。  間違いない。  直前にあった出来事はあれだ。  そのとき、俺の脳裏に『異世界転移』という単語が浮かんだ。 「漫画やアニメじゃあるまいし……」  書棚に並んだ漫画や小説が脳裏をよぎる。 「まさかここが異世界ってことはないよな……」  背筋がゾクリとした。
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