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一章〜旅の始まり①
✴︎5#‥対話
※※※※※※※※※※※
あれからリッツとタツキはマインの森を抜けグレイルーズ国に入り、国境近くのサンバの街にいた。
そしてここは宿屋の部屋の中。
リッツとタツキは、円いテーブルに寄りかかりながら、向かい合わせで椅子に座っていた。
(ああ。タツキさんと向かい合わせで、それもこんな間近で会話できるなんて……幸せだなぁ)
そうリッツがタツキを見ながら、ほわ〜んとしていると、
「こんな所に街があったんだな」
「はい。タツキさんは……」
「ん?リッツ。ここに来る途中で言ったよな。さんは付けなくていいって」
「あっ!そうでした。……タ、タツキは……えっと、これは会った時から思ってた事なんだけど」
そう言いリッツは、オドオドしながらタツキから目を逸らし、
「もしかしてタツキは、別の世界の人なんじゃないかなぁって思ったんだけど」
「リッツ……。よく分かったな」
「やっぱり、そうだったんですね」
そう言うとリッツは、タツキを見ながら満面の笑みを浮かべた。
「だが、何で分かったんだ?」
「ん〜なんとなくだけど。右目を隠してはいても、微かに見える神秘的な瞳と雰囲気かな?」
「そうか。だがそれだけじゃねぇよな?」
そう言われリッツは頷き、
「はい。異世界に関する本などを読んでいたので、タツキを見た時にもしかしたらって思いました」
「そういう事か」
「だけど……。誰が何の為に、タツキを召喚したんですか?」
「すまない。その事に関してはまだ言えねぇ」
「そうなんですね。分かりました。言えないという事は……そうなると、異世界人だって事も他の人に知られたらまずいんですよね?」
「ああ。出来れば知られないようにしたい」
「じゃ服装やアクセとか、この世界の物を身につけてみるのはどうかな」
「なるほど、それはいい考えかもな。だが今は手もとにねぇ」
「ん〜僕が持っている物で、一時しのぎになるかな?」
「それは助かるが、いいのか?」
「大丈夫です。ただ合う物があるかですが」
そう言うとリッツは席を立ち、自分の荷物が置いてあるベットの方へと向かった。
そしてタツキも席を立ち、リッツの後を追った。
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