8

2/10
384人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
あれから2週間。もう既に夏休みに突入していた。 「あっっぢいいいいい〜」 俺のうちは母子家庭であんまりお金の余裕がない。だから真夏はクーラーをつけずに扇風機一個でのりきるのだ。 「やっぱきっついな。クーラーつけてええええ」 でもつけたら母さんが鬼のように怒るのでがまんがまん。 夏休みにはいってから1週間がたつが、特に予定もなくなにもしていない。正直暇だ。聖夜はたぶん優里ちゃんとほぼ過ごしているし、楽しみにしている旅行もあれは夏休みの終わりごろだ。 「透さん… いまどこにいるかな」 メールでどこにいるか聞いてみる。透さんも最近は出かけているみたいであまり会えていない。 「俺って…こんな友達いなかったけっなーー」 自分で言ってみて凹む。去年の夏休みまでは聖夜と一緒に過ごしていた。部屋でゆっくり過ごしたり、聖夜は友達が多いので、そこに混ざったりと、今では考えられないほど俺の生活の中に聖夜がいた。 (そーいやー夏祭りも行ったなあ… 聖夜の浴衣まじかっこよかったなあ) 小さい頃から地元の夏祭りは毎年聖夜と行っていて、夏休みの楽しみでもあったのだ。 (まあ…今年はたぶん優里ちゃんと行くんだろうなあ…) いかんいかん、1人になるとどうしても嫌なことを考えてしまう。 ピンポーン 「ん?誰だ?宅急便か?」 ドアを開ける。 「つっばさくん!!!!」 そう言って抱きついてきたのは、 「透さん!!!」 「ど、どうしたんすか?!急に!」 「え〜?翼くんが俺に会いたいってメールしてきたんじゃーん。」 確かにメールはしたが、会いたいとはいってないはずだ。 「いや俺は、なにしてるかなーって聞いただけっすよ!」 「暇だったんでしょ?だから会いに来てあげたのにい… もっと嬉しそうにしなさーい!!」 そう言いながら透さんに、俺はほっぺをぐにーっと伸ばされる。 「いひゃいいひゃい、うれひいっすから!ほっぺのばすのやめれください!!」 「ふふふふ、しょうがないなぁ」 そう言って微笑んで俺を見る透さんの目はとても優しくて、俺はいつもドキドキしてしまう。 (でもなんか最近の透さん。めちゃくちゃ甘い雰囲気出てる気がするんだよな) なんか、透さんに見つめられるとむずむずしてくる…
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!