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「...わりい、なんかキモい声でちまった。」 恥ずかしすぎて、穴があったら入りたい気分だ。   (こんな声聞いたら、流石の聖夜も引くよな…) そう思ってると、今度は両耳同時にいじられる。 「んんぁんっ」 (な、なんか触り方がエロいんだがっ?!) 「翼、耳弱いんだ…?」 「え、あ、えっと…」 そう言う聖夜がどんな顔しているのか俺は怖くて見れなかった。 (やっぱり引かれたか?!) 「そういえばあの時も───」 声が小さく、最後まで聞き取ることができなくて 「ごめん、いまなんて?」 と聞き返そうとすると 、 「んんぁっ」 また耳の裏を擦られる。 「ちょっ?!せいやぁ?」 腕を掴んで止めさせようとすると、そのまま押し倒される。 「おい!せーや?!どうしたんだよ!」 抵抗しようとしても、聖夜の力が思ったよりも強くて身動きが取れない。聖夜の表情も見えなくて、こいつが今、何を考えてるのか分からないし、怖くて視界が歪む。 「せぇやっ、どうしたんだよ、こわいよっ」 と、必死の思いでうったえると聖夜は、はっと目を見開き、俺の腕を掴んでいた手の力を緩めた。 「ご、ごめん!まじでごめんっ…俺どうかしてた…」 聖夜自身も、自分がどうしてこんな行動したのかわかってないようだった。 「いや、いいよ… お、お前、たぶん俺のこと優里ちゃん間違えてたんだろ!しょうがねえやつだな、もうしてくんなよ!変態魔人め!」 どうやったら俺と優里ちゃんを間違えるんだと思いつつも、そう思わなきゃ変な期待をしてしまいそうだった。 「そ、そうだよな… 怖がらせてほんとごめん。俺、もう帰るな…」 いつもと違う聖夜の様子に調子が狂う。 「…まあ疲れてたんじゃね?俺は、ほんとに大丈夫だからさ気にすんなよ。」 「うん… ありがとう、じゃあまた明日な…」 聖夜は相当思いつめたような顔をして、帰っていった。 (あいつ、大丈夫か…)
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