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「通っていいっすか…?」 聞いたことがある声がして、その方向を見ると 「せ、せいや…」 そこに居たのは、聖夜と優里ちゃんだった。 「近所迷惑なんで、いちゃいちゃすんならよそでやってくださいよ」 そう言われて、透さんと俺の距離がほぼゼロ距離だったことに気がつき、ばっと離れる。 「ご、ごめん…」 恥ずかしいのと辛いのとで聖夜の顔が見れない。 「ごめんね?じゃあ翼くん、中入ろうか?そちらも楽しんで♡」 そう背中を押されて家の中にはいった。 「ふぅ… やっぱ君の幼馴染くんこっわいわ」 「え… 聖夜っすか?」 今まで聖夜を怖いだなんていう人がいなかったから、普通に驚く。 「うん。俺を警戒してるってのもあるけど、俺と翼くんがくっついてるの見てめちゃめちゃ嫉妬してたよ。」 (嫉妬… してくれてたのか…? だったら嬉しいけど。) 「嬉しそうな顔しちゃって…」 「うぅ… でも今日あいつさっきの彼女とお泊まりっすよ、夏休みの間にするって言ってたんで… 」 「え。それ翼くんに言ってんの??まじノンケって無理だわー」 「しゃ、しゃーないすよ。俺はただの親友で幼馴染っすもん。」 「ただの幼馴染ねぇ… 」 自分で言ってて悲しくなってくる。今日あいつは一線を越すんだ。 「翼くん… 隣でその大好きな幼馴染が愛しの彼女と、ヤることやってんのかもしんないのに耐えられるの?」 「っっっ!」 久しぶりに意地悪を言ってくる透さんをきっと睨む。 「耐え、られ、ますよ…」 「うそ。そんな泣きそうな顔してたら説得力ないよ…」 「ぐっぅ、なんでっそんな意地悪言うんすか… 」 こらえていた涙が溢れてくる。 「しょうがないじゃないすかぁっ、俺にはどうにもできないっ!俺だってつらいけどっ、あいつには幸せになってほしいんすよ…」 完全に八つ当たりだ。かっこ悪い。なんか透さんにはやっぱり泣いてるとこばっか見せてる気がする。 「ごめん… 翼くんが幼馴染くんのこと健気に好きすぎるからやきもちやいちゃった。もっと俺に頼ってくれてもいいのにって思って。」 「へ…?」 「俺、これでも翼くんのこと結構気に入ってるんだよ…?それに幼馴染くんのせいで何回も泣いてるとこ見てるってのに、あんなに好きなとこ見せられたらちょっとくらい嫉妬しても許してよね!」 初めて聞く透さんの本音に目をぱちぱちさせる。 「な、何か言ってよ… 俺、結構恥ずかしいこといったんだけど…」 「えっと… す、すみません?」 「なんで疑問系?笑」 「や、やきもちやかせて…」 「ふふふふふ、あははははは!!やっぱりおもしろいねぇつばさくん!!あはははは、別に謝ることないのに」 そう言って大爆笑する透さんの姿に少しだけ安心する。 「俺、結構頼ってますよ?こんな情けないとこ見せるの透さんだけっす…」 「そっかあ… じゃあ、これからも泣きたくなったらいつでも俺のとこ来ていいよ。」 「な、なんでそんなに俺に良くしてくれるんすか… 」 「うーん。なんでだろう… 翼くん見てると、昔の知り合い思い出すからかなー?」 「へえー。どんな知り合いっすか?」 「知りたいの?」 「まあ… 透さんの交友関係のか全く謎なんで、知りたいとこではあります。」 「いいよ、今度話してあげる。俺の初恋の人の話。」 「え、今話してくれないんすか?」 「それは、今からする提案に翼くんが乗ってくれたらによるかな!」 「提案?」 「翼くん、今日俺んち泊まりに来ない?」
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