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「ほんと、そーゆーとこだよ翼くん。俺に襲われても文句言えないよ?」 「へっ、ちょちょ透さん?!」 透さんの顔が近づいてくる。 (うわぁぁぁ顔が近いっ!!顔がいいっ!あれ、なんかデジャブ…?) つい目をぎゅっとつぶる。あれ?やっぱあったな。こういうこと!!! ちゅっ (ん?今キスされたの唇じゃない…?) 「今日のところはおでこで許してあげる。」 そう言ってふふっと透さんは美しく笑った。おでこでも十分恥ずかしい。唇が触れたところから俺の顔が熱くなる。 「うぅ…」 それからは、テレビ見たりトランプしたりゲームしたり、聖夜達のことは忘れるくらいに楽しく過ごした。 お風呂も一緒に入らないかと誘われたが、丁重にお断りしといた。 ◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎ 「透さん… 狭いっす…」 「文句言わないの!ベッドひとつしかないんだからしょうがない!」 「いや!だから俺は、ソファで寝るって言ったじゃないすか!」 「ソファなんてだめだめ!朝になったら翼くん絶対落ちちゃうもん。」 「で、でも… これは… 流石にはずいっすよぉ」 ベットで2人ならんで寝たまでは良かったが、2人で寝るとなると狭いというのもあり、透さんに横から抱きしめられるような形になってしまっていたのだった。 「翼くーん、こっち向いてよーー。」 向けるわけないじゃないか!!こんな距離近いのに!! 「む、むりっすぅぅ、近すぎるっすもん…」 「かわいー。翼くん俺んちのシャンプーの匂いする」 「あ、当たり前じゃないっすか!俺がかわいいって… 透さん眼科行った方がいいっすよ。」 「んー?いやーピュアで健気な翼くんほんとかわいいよ。」 そんなかわいいかわいい言われると流石に照れる。でも、もし俺に恋人がいたらこんな感じなんだろうか。 後ろに感じる温もりはなんだかとても暖かくて、確かに幸せだった。まぶたが重くなってうとうとしてくる。眠る前にこれだけは伝えなければ。 「でも、今日泊まらせていただいて…ありがとうございました…透さんといる時だけは、聖夜のこと忘れられる、気が、する…」 そう言って俺の意識はふっと途切れた。 「もう… またそんなこと言って… 勘弁してよね…」 透さんが眠った俺の頬におやすみとキスをしたのはもちろん俺の知らない話だ。 ◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎◽︎ ピピピピッピピピピッ 目覚ましの音で目を覚める。 「ん、んんん」 「あ、翼くん起きた?朝出来てるから食べなー?」 「え、え?あれ…」 見覚えのない部屋に、寝起きの働かない頭で考える。 (そーいえば、透さんの家に泊まったんだっけか…) 「透さん、おはようございます… 」 「おはよ!朝っぱらからごめんなんだけど、俺急に仕事入っちゃってもう出なきゃいけないんだ〜」 そう言って慌ただしく準備をしている透さんをぼーっと見つめる。 「あははっ!翼くん、まだ目が寝てる寝てる!」 「あっ、すみません… 俺寝起きひどくて…」 「いいのいいのっ、寝起きの翼くんレアじゃん!」 「レア…? あ、朝ごはんもありがとうございます…」 いつもは割と早く起きられるほうなのだが、どうやら爆睡してしまっていたらしい。 「簡単なものでごめんねぇ、あとこれ鍵ね!ポストとかにいれといてくれればいいからー」 「は、はい!今からもう仕事なんすか?」 「そうそう〜、ちょっと急ぎでねぇ。じゃあ行ってくるね!!」 「は、はい、いってらっしゃい!」 「ふふっ、いってきま〜す!」 笑顔で透さんは家を出ていった。 なんか…いいな!恋人っぽい!!!そう思いながら透さんの作ってくれた朝食を頂いた。
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