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「おはよう」
爽やかな笑顔で言われてまたドキッとしてしまう。
「おはようございます…」
「今から学校?早いね。」
「いや、隣に住んでる幼馴染を起こしに行かなきゃいけないんすよね。」
「あぁ、隣の彼ね!昨日挨拶しに行ったけど爽やかな子だったなあ」
聖夜を褒められて悪い気はしない…
「いやあ、毎日起こしに行かなきゃなんで大変すよ」
苦笑気味にいう。
「ははっ、仲いいんだねえ。」
「まあ…」
「今から仕事なんですか?」
今度は俺が聞いてみる。
「そうそう。学生のうちにいろいろ楽しんどきなねえ。社会人になるとそうもいかないからさ!」
愚痴を零しながらも嫌な感じを少しもださない太宰さんに、好感を覚える。
「っすよね。楽しみます。」
「えっと、翼くんだったよね?」
急な名前呼びにびびるが、悪い気はしなくむしろ嬉しかった。
「は、はい。透さん…でしたよね。」
「わあ、覚えててくれたんだあ。嬉しいなぁ」
にこにこと話す透さんは、ふわふわしていて可愛いなと俺は思う。
「てか翼くん、弁当2個も食べるなんて食べ盛りだなぁ!」
俺が手に持っている弁当箱を見て言う。
それを聞いてなんだか恥ずかしくなってきた俺は
「いやっこれは、隣の幼馴染…聖夜って言うんすけど、そいつに毎日作ってて、でも今日からは彼女に作って貰うらしくて、それで…」
自分で言いながら悲しくなってくる。
「間違えて作っちゃったのかあ!」
「はい。そうなんです…」
その時、俺は頭にいい案が浮かんだ。
「あっ、あの!良かったらでいいんですけど、俺の弁当をいりませんか?食べれる味ではあると思うし、でも、昼飯とか他にあったら全然断ってくれていいんすけど!」
「ええ?!」
(いや俺は急に何言ってんだよ!ほぼほぼ初対面のやつの弁当なんか誰が食べるかよ…)
やっちまったなと思っていると
「ほんとにいいの?昼ごはん、いつもコンビニですましてたから、手作り弁当とかすっごく嬉しいんだけど…」
意外な反応に思わず目をぱちぱちさせる。
「ほんとにもらってくれるんすか?自分から言い出しといてあれですけど俺達ほぼ初対面ですし…」
「ぜっんぜん!むしろありがたいよ!お代払いたいくらい!」
「それに…」
「それに?」
「なんか翼くん俺と同じ匂いする気がするんだよね」
俺も同じことを感じていたので驚いた。
「同じ匂いってどういう…」
聞こうとすると、透さんが時計を見て慌てだした。
「ごめん!!もう出なきゃ!!そのお話はまた今度ね!」
「あ!弁当!!」
俺が弁当を渡すと
「ホントにありがとう!ゆっくり頂くね!今日の夜弁当箱返しにいくからー!」
と、走りながらでていった。
(なんか嵐みたいな人だったな。)
しばらく透さんが走っていった方を見ながらぼーっとしていると、まだ幼馴染を起こしに行けてないことに気がついた。
「うわっやっべ!急がねえと!」
急いで合鍵で聖夜の家に入った。
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