2章 眼鏡と笑顔と三ヶ月 SIDE 永斗

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「ありがとうございます。すみません!」 その顔には、ふわっと、春の温かさを感じる笑顔が浮かんでいた。 大きな瞳が、緩やかなカーブを描き、ホッとした表情を浮かべている。 そして僕の手からゆっくと眼鏡を受け取った。 笑っている。 この前なんて比じゃないくらいの満面の笑みだ。 僕はホコリまみれの眼鏡を一生懸命拭き取る、恥ずかしそうな笑顔を凝視していた。 たったそれだけなのに、心臓が激しく音を鳴らし、 その髪に、柔らかそうな頬に、触れたいと願った。
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