10章 ハジメテと眼鏡と記憶と

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「小さな顔に、柔らかな白い肌、長い睫毛に夜空みたいに綺麗な瞳⋯⋯」 ひとつひとつ確かめるように。 指先が頬をすべり、顎をたどって鼻先へ触れ、まぶたをなぞって続ける 「そして、少し頑固だけど、何事も真摯に受け止める優しい心」 「頑固⋯⋯」 「褒めてるんだよ」 一度笑った永斗さんは、裸眼をじっと覗き込み 「――どれも僕だけが知っていれば、いいことだけど」 つけ加えるように言ったあと、背中をそっと引き寄せて頬を傾けキスを落とした。 ゆっくりと溶け合うように、混じり合う熱い唇どうし。 もう我慢しなくていいんだと思った途端、自然と両手を彼の背中へと回して背伸びをしていた。
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