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「真島〜頼む」
毎朝見かける彼女を、親しげに呼び捨てる男の声が聞こえてきた。
肩越しに振り返ると、長身でスポーツマン風の端正な顔立ちの男が、真島さんに向かって、両手を合わせて頭を下げているのが目に入る。
「報告書? いいよ」
無駄な会話は無いものの、嫌な感じは伝わってこない。
真島さんは仏頂面で、男の手から資料を引き抜いてデスクの端に置くと、再びキーボードを叩き始める。
「やっぱり真島は、はえーな」
「報告書は得意だから」
「今度、甘味おごってやるよ」
男が真島さんの肩を叩くと、タイプを打っていた真島さんがピタリと止まった。
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