2章 眼鏡と笑顔と三ヶ月 SIDE 永斗

11/36

12399人が本棚に入れています
本棚に追加
/490ページ
「真島〜頼む」 毎朝見かける彼女を、親しげに呼び捨てる男の声が聞こえてきた。 肩越しに振り返ると、長身でスポーツマン風の端正な顔立ちの男が、真島さんに向かって、両手を合わせて頭を下げているのが目に入る。 「報告書? いいよ」 無駄な会話は無いものの、嫌な感じは伝わってこない。 真島さんは仏頂面で、男の手から資料を引き抜いてデスクの端に置くと、再びキーボードを叩き始める。 「やっぱり真島は、はえーな」 「報告書は得意だから」 「今度、甘味おごってやるよ」 男が真島さんの肩を叩くと、タイプを打っていた真島さんがピタリと止まった。
/490ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12399人が本棚に入れています
本棚に追加