2章 眼鏡と笑顔と三ヶ月 SIDE 永斗

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「ゔっ⋯⋯いってぇ⋯⋯けほ、けほ。」 人がいたのか。 気づかなかった。 驚いて止めていた足を、声がする方に進めた。 中央の幅の広い通路を、棚ひとつ、ふたつ、過ぎて覗き込むと、床に四つん這いになって何かを探す女性が、目に飛び込んでくる。 『大丈夫ですか』 と、言葉を発する前に、僕は息を呑んで驚いた。 真島来美だ。 それも眼鏡が、 「ない⋯⋯」 思わず出てしまった声に、真島さんは僕の存在に気づき、慌てた様子で立ち上がった。
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