アングラ~夜紅羅 實光~

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平屋で立派な日本家屋の門柱には“夜紅羅(やくら)組”と書かれた木の看板が立って居た。どう見ても普通の家ではない。唾をごくりと飲んで誰が先にインターホンを押すのかを5人の男達は目配せし合っていた。 5人の男達は皆それぞれスーツを着ており、しっかりとした正装に身を包んでいた。彼等は普通の会社で働く普通のサラリーマンだ。結婚して子供を持つ者も居る。そんな普通の彼等が何故、この場所に来ることになったのか? 簡単に言えば「上司命令」だ。 昨今では、警察と同等に力を持ち始めた闇の組織が幾つか存在していて、政府との繋がり(パイプ)を強く持ち、時には警察よりも早く事件を解決できたりする。……と言うか、警察が上げてきた検挙数の殆どが彼等の介入によるものであるとも言われている。こんな事を言っていると多方面からお叱りの声が聞こえて来そうなのでこの辺で終わりにしようと思うが、時には“上”からの指示で彼等の罪は無かった事になる事もある。
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