甘党と雪山と

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 ところで俺の彼女は甘党だ。ケーキ、パフェ、カステラに饅頭と、とにかく甘い物に目がないひとなんだが、とりわけ一番好きなのはチョコで、スナックバー型のお菓子を常備して、小腹が空くたびに食べている。彼女が食べている姿を見ていると、大体俺の表情は険しくなってくる。いや……甘い物が好きなのはいいんだが、限度というものがある。どう考えても不健康だ、というのを遠回しにやんわりと窘める俺に、「別に太らないんだし、いいじゃん」と口の端にチョコの痕を残しながら言う彼女に、内心ではちょっと可愛いなと思いながら、かなりきつめの〈甘い物禁止令〉を出したんだが、きっとそんな約束は破られるだろう、と思っていた。ただ、まさかあんな状況で知ることになるとは思っていなかった。  破られたことよりも、俺が何よりも驚いてしまったのは、彼女の甘党に救われる日が来たことだ。
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