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そうした経緯の後、国民が次に信用したのが
探偵 アルフォード=ブルース という男
彼は突然舞い降りた 救世主が如く。
奴と初めて会った事件を話そう。
これまたとある資産家の主が殺害された。
その捜査で犯人は隣町の商売がたきであろうと目星をつけた。
彼はその家の主が亡くなる直前に会っていた人物だったからだ。
当然のように彼は否認した。
しかし凶器である血のついた鎌が彼の所有する風車小屋から見つかりそれは決定的に思えた。
暴れる彼を逮捕した瞬間にアルフォードは颯爽と現れこう言った。
「また無実の男を殺すのかと」
あの時のアルフォードの顔を忘れはしない。
強い軽蔑と冷たい悲観の眼差し。
私は即座に奴が嫌いになった。
自分の父親と同じ目をしていたからだ。
「何度同じことを繰り返せば君達警察は自分達の無知ぶりを理解するのか」
なかなかの上から目線でそう言った。
自分はその時床に犯人と揉み合いになり倒れこんでいたからなおのこと。
アルフォードはその後、推理というものを披露した。
亡くなったと思われた主人は生きていたのだ
当初、事件は屋敷の中使用人も留守の時間に起こった。主人の部屋は血まみれで、出血の多さから死んでいるだろうと思われたが遺体は見つからず引きずった跡から屋敷の裏にある池に捨てられたと思われていた。
その池も我々は何日も泥と水に浸りながら捜索したのだ。
残念ながら遺体は見つからなかったが主人が身に付けていた時計やら靴やら衣服はあった
肝心の屋敷の主人だが...
なんと屋根裏部屋にいたのだ。
使用人も存在を知らなかったという屋根裏部屋にはみすぼらしく髭を伸ばした主が一週間もの間潜んでおり、残り僅かの食糧とワインを飲み食いしているところを見つかった。
いつからこんな計画を立てていたのか
それもアルフォードには手がかりになったようだ。亡くなる1ヶ月前ほどから主人は食事以外に寝る前にパンにワインを持ってこさせていた。それを毎夜少しずつ屋根裏部屋に運んで貯めていたのだろう。
それにあわせて借金の取り立て、保険金の存在。
彼はその事を人々から聞き、即座にこれは殺人ではないと思ったそうだ。
執事であるセバスチャンに詳しく調べさせ
自分は屋敷の中を調べると屋根の高さに違和感を持ったらしい。
借金の取り立てをしに来た彼を犯人に仕立て上げ、自分は保険金を手にいれようと企てたのだ。
『華麗なる推理と洞察力
探偵アルフォード 無能な警察に代わり
見事死んだはずの主人を見つける』
古い新聞記事を手にチャーリー・アダムは溜め息をついた。
この事件を機に彼は誰よりも有名な探偵となり、今では彼をモデルに数多くの小説が出る始末。
実はアルフォードは何年も前から事件が起こる度、警察に自分の推理を手紙として送りつけていたらしい。
その事は知らなかったが、当時彼の手紙をしっかりと読んでいたらより早く事件が解決したのではないかと思う輩も多いのは事実だ
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