第一章『Lesson』

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 この学校は基本的に校則は緩く、それを目当てに入学する生徒も少なくなかった。  染髪や化粧、ピアス等の装身具こそ禁止だが、パーマ程度は許されている。セットによる巻き髪も髪飾りも、常識の範囲を超えて華美なものでなければ注意されることもない。  制服も同じくだ。  スカート丈にも一応基準はあるが、所謂(いわゆる)服装検査などは皆無だった。式と名の付く正式な場でさえ既定の品を身に着けていれば、普段は男子のネクタイや女子のリボンを任意のものに変えていても黙認状態だ。  怜那のように、入学時に採寸して購入したそのままの制服の方が少数派かもしれなかった。怜那の場合はルールを守る意識からではなく、単に必要性を感じないからではあったが。 「沖先生って、『いい人なんだけど~』って言われて終わるタイプってカンジじゃない? 恋愛ドラマの当て馬? みたいな」 「うーん、でもさぁ。結婚相手にはああいう人がよさそうって気もする。浮気とかしそうにないしぃ」 「は? 美彩(みさ)、それ女子高生のセリフじゃねーよ! なんで結婚まで飛んでんのさ」  想定外の答えだったのか、リーダー格の瀬里奈(せりな)が呆れたような声を上げた。
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