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「その子たちの部屋ってたいてい狭いワンルームか、せいぜい1Kだから。しかも大抵二、三人で行くから凄いよ、まさに雑魚寝って感じで。……どう考えても『パジャマパーティー』なんて可愛いもんじゃなくて『雑魚寝』なんだよね。なんでだろ、『女子がパジャマで』までは同じ筈なのにさぁ」
内容は半ば文句でも、怜那は実に楽しそうだ。
「なんかお前の話聞いてると懐かしいよ、あーそうだったよなって。しかし俺が大学生だったのなんて、ほんの数年前のはずなのになぁ、凄い遠い昔に感じるのは何なんだろうな」
沖の、年の差を感じさせる発言に、彼女は可笑しそうに声を立てて笑った。
「でもさ、そういう子たちの部屋と比べたらやっぱりここ、沖さんの部屋って結構広いよね。この部屋の広さっていうより、ダイニングキッチンが別にあって食事はそっちですればいいっていうのが」
学生の部屋を基準にすれば、やはり沖の部屋は余裕があるように見えるのかもしれない。きちんと片付いているせいもあるだろうが。
「そりゃまぁ、学生と一緒にする方が失礼なのかもしれないけど」
親がかりの学生と社会人では、やはり根本的に違うことくらいは、怜那も承知の上だ。
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