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そのついでのように、彼女は一番近くにいた怜那にも問い掛けて来る。
「ねー、怜那はどう思う? 沖先生みたいな、面白くないけど真面目で誠実! って男」
休み時間で自席に座ったままだった怜那には、すぐ傍で騒いでいた彼女たちから突然飛び火してきた話題は厄介でしかない。
とはいえ、さすがに無視する気はないので素っ気なく返した。
「あー、……あんまりそーいうの興味ないんだ」
「──そっかぁ」
もともと気にしない怜那はともかく、相手が気まずそうにしているのが手に取るようにわかる。
──だからさぁ、なんで私に振るんだよ。こういうのに乗らないくらい、もうわかってんでしょーが。
「あたしはやっぱ、宮崎先生の方がいいなぁ。顔とか背だけなら沖先生の方がちょっと上かもしんないけど。付き合うとしたら、楽しい人の方がよくない? 恋愛と結婚は別だって言うしさ」
「美彩、人生何周目だよ……」
「でもぉ、瀬里奈はそういうこと全然考えない?」
「あ、あたしも宮崎先生好き! なんかカワイイよね。──あーあ、このクラスの英語も宮崎先生だったらよかったのにー」
──美彩、とりあえずありがと。
おそらくは故意に、怜那から視線を逸らしてくれたのだろう彼女。……もし違っていたとしても、結果は同じだ。
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