第一章『Lesson』

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 そのついでのように、彼女は一番近くにいた怜那にも問い掛けて来る。 「ねー、怜那はどう思う? 沖先生みたいな、面白くないけど真面目で誠実! って男」  休み時間で自席に座ったままだった怜那には、すぐ傍で騒いでいた彼女たちから突然飛び火してきた話題は厄介(やっかい)でしかない。  とはいえ、さすがに無視する気はないので素っ気なく返した。 「あー、……あんまりそーいうの興味ないんだ」 「──そっかぁ」  もともと気にしない怜那はともかく、相手が気まずそうにしているのが手に取るようにわかる。  ──だからさぁ、なんで私に振るんだよ。こういうのに乗らないくらい、もうわかってんでしょーが。 「あたしはやっぱ、宮崎(みやざき)先生の方がいいなぁ。顔とか背だけなら沖先生の方がちょっと上かもしんないけど。付き合うとしたら、楽しい人の方がよくない? 恋愛と結婚は別だって言うしさ」 「美彩、人生何周目だよ……」 「でもぉ、瀬里奈はそういうこと全然考えない?」 「あ、あたしも宮崎先生好き! なんかカワイイよね。──あーあ、このクラスの英語も宮崎先生だったらよかったのにー」  ──美彩、とりあえずありがと。  おそらくは故意に、怜那から視線を逸らしてくれたのだろう彼女。……もし違っていたとしても、結果は同じだ。
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