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「俺はぜーんぶ知ってるんだぜ。巷ではお前が、“猫の玩具”“猫の乗り物”扱いされているということ!」
「ぐ!」
「しかもその写真を面白おかしくインスタにアップするご主人様が多いこと多いこと!お前はもはや、掃除機ではなく猫の相棒と認識されてるっつーことなんだよ!」
「ぐぐぐ!」
「もっと言ってやれば!猫に邪魔されてまともに掃除ができずにエラーするお掃除ロボがどんだけいると思ってるんだ!大体本当にお前一人で済むってなら、俺があとから購入されるはずがねーんだよボーケ!」
「ぐぐぐぐぐ!」
おっとこれは、ダイソン君優勢か?優勢なのか?私は思わずツッコミも忘れて彼の猛攻を見守ってしまう。
だが、ルンバ氏も負けてはいない。丸い角でぴょんぴょんと跳ねながら(壊れるからやめてええ!)負けじと言い返す。
「……ふん、何を偉そうに。私、ルンバの方が貴方より前に発売されてるんですよ。初代ルンバがいつ発表されたか知ってます?2002年ですよ2002年。対して、世界で初めてコードレス掃除機が発売されたの2004年ですからね。私の方が二年も先輩なんですよ」
「なぬ!?」
「もっと言うと!その時発売された世界最初のコードレス掃除機って、ダイソンじゃないですからね!!むしろコードレス掃除機が実際に家庭でメインで使われるようになったの、2013年くらいですよずーっと後です!」
「ぬぬぬぬぬ!」
「どうだ、私の方が歴史もあって凄いんです、ちったぁ敬ったらどーなんですか!」
まさか、そういう方向で攻めるのかいな。私は目をまん丸にするしかない。
というか発売されたのがいつだのどーだの、なんでこの子がそれを知っているんだろう。知らないうちにネットサーフィンできる機能でも搭載されていたんだろうか。最近の家事用AIはちょっと優秀すぎやしませんか。
「……ふ、ふふ。仕方ない。こうなったら、最後の手段」
え、もう最後の手段なの?ダイソン君の言葉にぽかんと口を開けた私。そして彼が言い出したことは。
「どっちがお掃除王に相応しいか!ご主人様に決めてもらおうじゃないか!」
「それはいい!」
「ええええええええええ!?」
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