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ここにきて私を巻き込むのかい!私はびっくりして、布団の上で腰を抜かした。そんな私をよそに、二体の掃除機はずずずず、と私の前に雁首並べて迫ってくる。
「ご主人様、決めてくれ!お掃除王は、俺、ダイソンのコードレス掃除機で決まりだよな!?」
「いえいえいとんでもない!お掃除王はこの私、自動お掃除ロボのルンバ以外にありえません!そうですよねご主人様?」
「ちょおおおおお!?」
あかん、これはどっちを選んでもダメなやつ!私は頭を抱えた。目をキラキラさせ――いや目なんかないけどそんな空気がめっちゃする――二人は、さあ、さあ!とぐいぐい迫ってくる。
どうしよう。もうなんであんたら喋ってんの?というかダイソンの掃除機ってAI搭載されてなかった気がするから実は付喪神なの?なんてツッコミも出てこない。
混乱した私が、弾き出した答えは。
「お、お掃除王は……き……キッチンクリーナーさんです!」
「「はい!?」」
「き、キッチンクリーナーなら台の上も机の上も濡れ拭きできるし、油汚れも取れるし!き、君達にはできないことたくさんできるから、彼が一番ってことで!!」
「「はいいいいいいいいい!?」」
この答えは予想外だったらしい。まさか掃除機が、機械でもなんでもない奴に負けるなんて。そんなことをぼやきながら、すごすごと引き下がっていく。
これは、ちょっと可哀想なことをしたかもしれない。私が慌ててフォローを口にしようとした、その時。
「こ、こうなったら」
「ええ、そうですね」
わなわなと身体を震わせ、二体は叫んだ。
「「キッチンクリーナーさん!俺(私)を弟子にしてくれ(ください)!!」」
「なんですとおおおお!?」
二体の掃除機は一目散にキッチンに向かっていく。私はそれを止めようとして毛布に躓きながら叫んでいた。
「ま、ま、待って!そんなあんたらが同時に弟子になりにいったりしたら、キッチンクリーナーさんが困るからああああ!」
いや、私。
ツッコむところは、そこでいいのか?
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