ゴミ、ゴミ、ゴミ。

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「この法律で皆さんが成すべき義務として定められたことは三つ。一つ、法律違反をして犯罪者にならないこと。犯罪者は国のゴミです。ゴミを増やしてはいけないのはわかりますね?二つ、人に迷惑をかける人間にならないこと。人に迷惑をかける人は、優秀な人の足を引っ張ります。こういう人も減らしていかなければいけませんよね。そして三つ……自分の身の回りを常に清掃して綺麗に保つことです。ゴミを増やす人も、やはりゴミなのです。今回集められた皆さんは、ほぼほぼこの三つ目の項目に引っかかったものと考えてください」 「そ、それはどういう……」 「おっと、質問は手を上げてするようにしてくださいね?我々政府は、皆さんの家に自由に出入りする権利があり、すべての不動産会社は我々にあらゆる住宅の鍵を渡す義務を課せられております。これも先日別の不動産法で決まったものですが……おやこちらもご存知ではない?まあいいでしょう」  ちょっと待ってご存知ではない?でスルーしないで欲しいものなのだがそれは。僕は大混乱だ。今さらっと、政府はどんな家でも建物でも鍵持ってるし不法侵入し放題だと明言したも同然ではないか。いや、法律で定められてしまっているなら不法侵入にはならないのかもしれないが――国民のプライバシーを守るとか、そういう考えは連中には一切ないのだろうか。  そもそも、そんな法律、見たことも聞いたこともない。いくら自分が政治に無関心だったからといっても、そのような滅茶苦茶な法律が制定されたなら、日本中大騒ぎになっていそうなものであるのだが――。それとも、そんな騒ぎにもならないほど、教団とやらの規模と圧力が大きくなってしまったとでもいうのだろうか? 「我々は、皆様が留守の時、定期的なお住まいのチェックを行っております。そして、お住まいの汚染度が一定期間、一定以上の値を上回った方は……国家清掃美化維持法に違反されたと見なし、拘束する権利を持っているというわけですね。皆様にはこれからみっちり、ここで清掃の大切さ、尊さを学んでいただくことになります。具体的には、一ヶ月間でございますね」  一ヶ月。長いというほどではないかもしれないが、到底短いとも言えない期間だ。
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