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「どうしたの? 疲れてるね。何かあったの?」
「んー、今日朝からずっと展示会で接客だったから、足が限界……」
そう言いながらも彼女はゆっくり立ち上がり、自動販売機に小銭を入れ缶コーヒーのボタンを押す。
ガランと缶が落ち、取り出し口から缶を取り開けて、ひとくち飲みながらまた隣に座った。
「そうなんだ、大変だったね」
「那奈の方は?」
「私もやっと休憩に来たとこって言っても、もう夕方だけど」
「そっか、那奈に比べたら私なんて楽な方だよね。朝から外回って帰って来るのは夕方でしょ。こうして話すのも久しぶりだもんね」
「ふふ、ほんと久しぶり。凛だって朝から夕方まで展示会で接客でしょ。一緒だよ」
「うーん。そうなんだけど」
「ん? どうしたの?」
「先輩達、厳しくない?」
「えっ、あーうん、そうだね。でも」
「だまされたぁー、菊池先輩のあの優しそうな目……だまされたわぁー」
「り…ん…?」
「あれは悪魔の微笑みなんだよ…」
「えぇー嘘でしょ。すごく優しい目だったよ。頼りになりそうな先輩だなって」
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