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「いやいやいや。確かに、仕事は真面目でしっかりしてる。接客も丁寧で落ち着いていて頼りになるけど、完璧なだけに指導は鬼だよ」
「ふふ、そういう事。それなら三浦先輩だってそうだよ。初めはさ、軽薄で絶対チャラいって思ってたし、仕事も適当にしそうな感じだったのに、実際は真面目で努力家。良い物作る為に、日々勉強して自分の技量を増やしてる。菊池先輩と同期なだけある。同じく指導は鬼」
「はははっ、一緒かぁ。私達、先輩に恵まれたね」
「うん、そうだね」
「そういえば、今度営業1課と2課で交流会っていうのがあるんだって。訊いた?」
「ううん。三浦先輩は何も言ってなかったな」
「あれ、そうなの? 言うの忘れてるのかな?」
「そっか、いわれてみれば1課と2課って階が違うから、普段会う事って少ないもんね」
「うん。那奈、やっと出会いが来たよ! 出会い!」
さっきまで疲れ切った顔をしていたのに、もう目を輝かせて私に訴えて来る。
「社内でもイケメンで有名の2人も来るんだよ」
「ん? イケメンで有名?」
「あれ? 知らない? 営業1課の牧瀬さんと尾崎さん」
「うーん。知らない……」
「そっか。私は噂を聞いて、1課に2人を見に行った事があるんだ。2人は最強コンビって言われていて、2人でどんな案件も契約を取って来るらしいよ」
「へーそうなんだ」
「それにね、食堂で何度か2人を見かけた事があるんだけど、受付や秘書課の人達が食事に誘ってるの聞いたんだ。いつも断ってるみたいだけど」
「へー」
「2人揃ってイケメンで仕事も出来るなら、当然モテるよね。やっぱり、彼女いるんだろうな……」
「ふうーん」
「はぁー、ほんと那奈は……」
私が2人のイケメンに関心を示さなかったのに気づいたのか、凛はため息をついてチラリと私を見る。
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