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真相と結末
「そうです。これがエルフ庄の子供たち、そしてサンタクロースに贈るギフトです」
ヨハンは宣言した。「わかっているのか!自覚しているのか!裏切り行為がどういうことか」
神託がガヤガヤとうるさい。ヨハンは属性の一つを手放すことにした。
お告げがピタリとやんだ。
そしてふわっとブーツや靴下がもぬけの殻になる。もう無用の長物だ。
「怖いものなど何もありませんよ。むしろ私を畏れるのはあなたがたじゃないかな?」
ゆらゆらと薄絹のように風にたよとう。他のサンタたちも自由に漂う。
「この世界をどうしても攻略できない理由、そしてあなたたちが征服にこだわるわけ、子供たちが望むものすべてがあそこにある」
毒矢に斃れたはずのロザリアが子供たちを先導する。エルフ庄の跡地にはどす黒い地獄の淵が開口していた。
「行こう」
ガーシュの息子がヨハンに手を差し伸べる。
「皆も来なさい」
彼はうなづき、村の子供たちに告げた。
「無邪気は無邪気のままに。よい子は大人の玩具じゃない。ましてや我々は神様のアイテムでもない」
そしてガーシュの長男とロビン、数え切れないほどの子供たちが淵のほとりからのぞき込む。そこには両手いっぱいの銀河が浮かんでいた。
「私たちはあそこから君たちを見守っている。そして来年もまた来る。私はあちら側についたのだ。これからは君たちが大人にやり返す番だ。私たちは何もおそれない。わかってるな?」
ヨハンが促すとロビンが首を縦に振った。
「ちゃんと覚えました。合言葉は…」
ロザリアが「せぇの」と音頭をとる。
『トリック・オア・トリート!』
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