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同じクラスの子たちに埒が明かないので2年生の教室のあるフロアへとズカズカ入っていく。
華菜は2年1組の教室から順番に全教室見て回ることにした。
2年生の教室のあるフロアは随分と静かだった。静かというよりそもそも人の気配がしない。
「……いない」
そっとドアから首だけ出して教室内を覗いてみたが、1組に湊由里香らしき人はいない。というか人が誰もいない。
もしかして集団ボイコットでもしているのだろうか? 先生がめちゃくちゃ悪人で全員そろってストライキ? もしかしてクラス替えに不満があって誰も来てないとか?
焦りのあまり普段なら考えつかないような突飛な考えが次々と浮かんできている。
「2年生の教室に何か用でしょうか?」
考え込んでいたら突然後ろから声をかけられた。
人の気配の無い場所から現れた予期せぬ声に思わず「ひゃいっ」と変な声が出てしまう。
「もしお困りごとでしたら伺いますよ?新入生の方ですよね?」
突然お上品な笑みを携えた人に声を掛けられる。
いかにもうちの学校にいそうなお嬢様の擬人化みたいな人。いや、まあお嬢様も人だから擬人化はおかしいけど。
この学校の理想の生徒を作り上げるとしたら目の前に姿勢よく立っている優雅な人物なのかもしれない。学校紹介のパンフレットからそのまま飛び出して来たかのような模範生の見た目をしている。
「えっと、あの、2年生の教室のある階にいるってことは2年生か3年生の人ですよね?」
漂ってくる雰囲気が先程まで同じ教室にいた新入生たちと明らかに違う。すでにこの学校で1年以上の時を過ごし、ある程度の勝手を知っている人物の落ち着き方をしている。
「ええ、2年生ですよ」
「ええっと、だったら私下級生なんで敬語じゃなくても大丈夫ですよ」
「ふふ、初対面の方には敬語でお話するほうが自然だと思いますよ。それに生徒会長たるもの学年関係なくどなたに対しても平等にお話するべきだと思いますよ」
「生徒会長?!」
「ええ」
変わらぬ微笑みで話かけてくるお嬢様先輩が生徒会長であったことに華菜は驚いた。
新2年生で生徒会長ということは1年の時点ですでに就任していたということになる。
この伝統ある学校で1年生の時点で生徒会長ができることに驚きではあるが、たしかにこの気品の化身のような人物なら納得する部分もある。
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