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まさか初日から生徒会長と会話することになるとは思ってもみなかった。
「生徒会長としては困っている生徒がいらっしゃったら手を差し伸べるべきだと思いますので、もし何かありましたら何なりと言って頂いてよろしいのですよ。」
柔らかい微笑みについつい心を緩めてしまう。
「だったら遠慮なく聞かせてもらいます。湊由里香って知ってますか?」
「もちろん存じ上げておりますよ。」
「何組かとかってわかりますか?」
「ええ、もちろん。2年3組ですよ。」
「ありがとうございます!」
「あの……あなたは湊さんのご友人か何かですか?」
生徒会長が何かを試すかのような表情で尋ねるが、華菜はとくに気にせず元気に返答する。
「いえ……ライバルです!」
「ライバル?」
「忘れたくても忘れられない相手です」
生徒会長の表情が一瞬だけ何を言っているのかよくわからないとでも言いたげな怪訝な表情になったが、またすぐに元の笑顔に戻った。
「ふふっ、面白い人ですね。でも残念ながら今日は湊さんは学内には不在ですよ」
「え!湊由里香も学校ボイコットしてるんですか?」
「ボイコット?」
「1組に誰もいないのってみんなボイコットしてるからですよね?」
「ああ、そういうことですか。ふふっ、でも違いますよ。今日は入学式ですから。1年生と生徒会と吹奏楽部くらいしか学校には来てないですよ。」
「ああ、そういうことか……」
結局意気揚々と湊由里香を探しに行ったものの出会う事は出来なかった。
だがお嬢様生徒会長先輩のおかげで湊由里香が2年3組にいることはわかったから、次は始業式の日に再チャレンジである!
「お困りごとは解決しましたか?」
「はい、おかげさまで!ありがとうございます。また来ます。」
「ふふ、わかりました。それではごきげんよう。」
まるで周りに百合の花でも咲いているみたいに優雅にお嬢様生徒会長先輩は去っていった。
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