68人が本棚に入れています
本棚に追加
生徒会長からの予期せぬ言葉に華菜の顔が青ざめた。
由里香が野球をやめたのが自分のせいである可能性なんて華菜は考えたことがなかった。
「ま、まああなただけのせいとは言えないですけど……」
想像以上に華菜がダメージを受けているのを察したのか、生徒会長の口調が少しだけ弱まった。
「あの、もし湊由里香が野球をやめた原因が私にあるんだったら、湊由里香に謝りにいかないといけないです。もし詳しい話を知ってるんだったら教えてもらえませんか?」
自分のせいだといわれても何が何だかわからなかった。
中2の秋にいつものようにスマホでやり取りをしていたら、突然既読無視をしてきたのは由里香なのだ。自分から勝手に連絡を絶って疎遠にしていたのは由里香なのだ。
どのやり取りを機に既読無視をされたのかは覚えていないが、少なくとも由里香の悪口とかではないはずだ。
あのとき由里香に憧れ、マウンドでの佇まいに魅了されていた華菜が由里香のことを悪く言うはずがなかった。
「絶対に教えたくないですね」
「そこをなんとか……」
生徒会長がため息をついて再び着席した。華菜はただただ焦っていた。
「私も暇じゃないのでこれ以上あなたとお話する時間は取れないです」
最初のコメントを投稿しよう!