博士が愛した依存

3/16

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「もう、一時期はどうなるかと思いましたよ~」 出前で頼んだ蕎麦を隣で啜りながら、部下の柳楽(やぎら)が俺に文句を言う。 「博士はいつもはしっかりしてるのに、たまに抜けてるから、内心冷や冷やしてました」 「ごめんって」 俺は柳楽に平謝りすると、柳楽が「反省してませんよね!?」と言う。俺はそれを聞いて、けらけら笑った。 「反省してるよ」と言うと、柳楽が蕎麦を啜って、ため息を吐く。 「博士が作るメカは、どれも天才的なのに、どうして本人はこうなのか……」 「嬉しいけど、嬉しくない……」 俺は吐息を吐くように言うと、柳楽がムッとした顔で、豪快に蕎麦の汁を飲んだ。 「にしても、今回のメカもよく思いつきましたよね。まぁ、今の時代、インターネットが無ければ生きていけませんしね」 「まぁな。依存、しちゃってるよなぁ」 俺は天井を見上げて言うと、「ですねぇ」と柳楽が言う。それからまた蕎麦を啜って、咽た。俺は柳楽に水の入ったペットボトルを渡すと、柳楽が「すみません……」と咽ながら言う。 「はぁ、死ぬかと思った……」 やっと苦しいのが取れた柳楽が、ため息を吐くと、俺は「こんなところで死んでもらったら困るんだけど」と言う。 「君は最高の助手なんだから」 「博士……!」 柳楽が目を輝かせると、俺は蕎麦を啜った。 美味しいけど、やっぱり真白が作った蕎麦には勝てないな。と言っても、蕎麦は手打ちじゃなくて、汁だけが真白が作ったものだけど。 俺は心の中でそう思うと、心の中がチクリと痛んだ。 もうずっと、からだろうか。 久しぶりに、真白が作ったオムライス、食べたいな。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加