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「もう、一時期はどうなるかと思いましたよ~」
出前で頼んだ蕎麦を隣で啜りながら、部下の柳楽が俺に文句を言う。
「博士はいつもはしっかりしてるのに、たまに抜けてるから、内心冷や冷やしてました」
「ごめんって」
俺は柳楽に平謝りすると、柳楽が「反省してませんよね!?」と言う。俺はそれを聞いて、けらけら笑った。
「反省してるよ」と言うと、柳楽が蕎麦を啜って、ため息を吐く。
「博士が作るメカは、どれも天才的なのに、どうして本人はこうなのか……」
「嬉しいけど、嬉しくない……」
俺は吐息を吐くように言うと、柳楽がムッとした顔で、豪快に蕎麦の汁を飲んだ。
「にしても、今回のメカもよく思いつきましたよね。まぁ、今の時代、インターネットが無ければ生きていけませんしね」
「まぁな。依存、しちゃってるよなぁ」
俺は天井を見上げて言うと、「ですねぇ」と柳楽が言う。それからまた蕎麦を啜って、咽た。俺は柳楽に水の入ったペットボトルを渡すと、柳楽が「すみません……」と咽ながら言う。
「はぁ、死ぬかと思った……」
やっと苦しいのが取れた柳楽が、ため息を吐くと、俺は「こんなところで死んでもらったら困るんだけど」と言う。
「君は最高の助手なんだから」
「博士……!」
柳楽が目を輝かせると、俺は蕎麦を啜った。
美味しいけど、やっぱり真白が作った蕎麦には勝てないな。と言っても、蕎麦は手打ちじゃなくて、汁だけが真白が作ったものだけど。
俺は心の中でそう思うと、心の中がチクリと痛んだ。
もうずっと、真白の手料理を食べていないからだろうか。
久しぶりに、真白が作ったオムライス、食べたいな。
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