博士が愛した依存

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俺は動かしていた手を止めると、またはんだこてを立てる。今度はマスクを外さなかった。 「幸せだよ」 「本当に?」 柳楽が俺の横に立つと、俺のマスクを優しく取る。俺は柳楽に視線を向けず、ただじっと完成途中の電子回路を眺めた。 「博士は本当に幸せなんですか?」 柳楽はマスクを机に置くと、俺の肩を掴んで、柳楽の方へと体を向かせる。柳楽は真顔で、俺の事をじっと見ていた。 「俺は、そうは思いません。俺を誰だと思ってるんですか? 博士の唯一の助手です。長い間、博士の右腕として今まで生きてきたんですよ?」 俺は微笑を浮かべると、泣きそうなほど悲痛を叫ぶ柳楽を見る。柳楽は俺が微笑しているのを見て、一瞬顔を強張らせた。 「俺は幸せだよ。すっごく幸せ」 「触れられなくても? ?」 柳楽がぽたぽたと涙を零すと、俺はそれを見て「何で柳楽が泣くの?」と聞く。柳楽は俺の肩をがっちりと掴んで、放そうとしなかった。
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