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ぷつっと、何かが切れる音がした。
俺は椅子から立ち上がると、柳楽の胸倉を掴んで、壁まで歩く。柳楽が顔を強張らせて、涙目の瞳で俺を見た。
「二度と、俺の前で、その話は、するな」
一言一言はっきりと言うと、柳楽が顔を強張らせつつも、涙目の瞳で俺を見つめていた。
「だって、奥さんからの愛妻弁当も、朝昼晩の食事も」
「黙れ……」
「ベッドでも隣で寝てなくて。会話は出来ても、触れられないんですよ?」
「黙れ……」
「俺だったら、考えられないです。最愛の人が、目の前にいるのに触れられないなんて……!」
「黙れって言ってるだろ!!」
俺は柳楽を壁に強くぶち当てると、柳楽が顔を歪める。俺は出てきた涙を拭わずに、柳楽の目を睨むと、柳楽が俺をじっと見た。しばらくして俺はパッと手を離すと、視線を足元に向ける。
「……悪い、ちょっと風に当たってくる」
俺は静かに部屋の外に出ると、涙を拭って、屋上へと続く階段へと向かった。
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