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とある無死感人
私は植森 可憐(ウエモリ カレン)。俗にいう無死感人である。
訓練生の時のデッド討伐では、他の無死感人の人と共に戦い、教官達に英雄と称された。
とにかく死が判らず、死とは何かを求め、さまよい続けている。感情や欲求はあるが、それには目もくれず、死を追い求めている。
剣を握り、銃を構えて、デッドを攻撃し続け、中心を破壊した。ただそれだけだ。
無死感が特に不自由だと感じたことはない。痛いのは嫌だと感じる。人並みには。
ただ、死の恐怖を仲間と味わえないのは少し悲しい。
皆が逃げていく中、私だけ一人、逆の方向に向かってデッドを殺し続けている。たまに世界に私一人だけだと感じる時がある。そういうときは特に悲しい。
あるとき、デッドに重症を負わされている人を見つけた。その人はゴミの山にそのまま埋もれた。
しかし、デッドはそれを見逃さず、ゴミの山に向かっていく。
特に思うことはなく、私はそのデッドを自分の方向に引き寄せた。ゴミの山に埋もれた人は生きているのだろうか。それが知りたい。
私が初めて死以外に感心を持った時であった。
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