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発見
「えっとじゃあ、これの捜査やってもらおうかな?」
「分かりました」
伊木の星はまだ一つしかないので、こうやって落とし物の捜索や、捨てられたペットの保護などを地道に行っていくしかない。先輩達もこうやって星を集めたのだ。
「これは、尋ね人?」
伊木に渡された依頼には、女性の捜索が書かれていた。こういうのは大体、老人がいなくなるものだが、今回は30代後半だ。
「この名前、前の殺人事件の男性と名字が一緒だ」
ただの偶然とは思えなかった。もしかしたら、この人もデッドに狙われて。
「ヤバイ!」
最後の目撃情報は、この人の自宅付近の廃屋前。殺人をするならうってつけの場所だ。
-廃屋-
「大丈夫ですか!!」
壊れかけのドアを開け、くぐった時点で嫌な予感はしていた。
血の臭いが廃屋を満たしていたのだ。ここまで臭いが回るということは、殺されたのはかなり前。
「うっ、こ、これは...」
一際異臭を放つ物体があった。それは人の様にも見え、ハエがたかり、その中からネズミが出てきていた。
伊木は迷うことなくスターポリスに通報した。
-数分後-
「よう、一昨日ぶりだな」
「はい...これなのですが」
伊木は先ほど見つけた人間のようなものを指差し、松谷に見せた。
「ふむ、これまたハデだな」
「デッドの仕業でしょうか」
「そうだろうな。しかも、そのデッドは、あの殺された男の血縁関係者を殺して回るようだな」
何が楽しくてそんなことをしているのか、そんなこと、人間では到底理解出来ない。
「それじゃあ、子供も?」
「だろうな、そこで。お前に子供二人の護衛をしてもらいたい」
「え?!なんで自分が」
「見たとこ、お前は逃げ回っている上官や同期とは違うようだ。安心しろ、俺の目に狂いはねぇ」
松谷は真剣な眼差しで伊木を見つめたあと、両肩をつかんでポンと叩いた。
「頼んだぞ!」
「え、えぇ」
自分の手に二人の尊い命がかかっている。伊木が感じているその重さは、常人であれば体験することのない重みであった。
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